肝臓
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血中AFP動態からみたHepatomaの臨床分類
松本 由朗麻田 勇鈴木 敞中瀬 明本庄 一夫
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1977 年 18 巻 11 号 p. 847-855

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抄録

血中AFPによるスクリーニング法の開発を目的として,まず96例の進行原発性肝細胞癌の血中AFP動態とその臨床像の相関を検討した.50例は血中AFP値が初診時から,ほとんど全経過10μg/ml以上の値で変動し,変動幅は1週間に10μg/mlかそれ以上の値で,生存期間は6カ月以内の症例がほとんどであった(Group A).他の27例は初診時200~1,000ng/ml程度で,全経過中ほとんど10μg/ml以下の値を示し,3~4カ月に1,000ng/ml程度の変動を示し,生存期間は6カ月から1年半の症例が多い(Group B).残る19例はほとんど血中AFP値は200ng/ml以下で,8例は生存期間5カ月以内,他の11例は逆に2年半から数年の生存を示した.Group Aのhepatomaは,AFP値10μg/ml以下の場合は腫瘍も小さく,血中AFP値200ng/mlでスクリーニングすると微小のhepatomaを発見し得る.Group B,Cについては血中AFP値は早期診断に役立たない.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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