肝臓
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18 巻, 11 号
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  • 江口 尚久, 谷川 久一
    1977 年 18 巻 11 号 p. 803-813
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラットおよびヒトの肝硬変における肝類洞の微細構造について電顕的観察を行った.
    正常ラットの肝類洞内皮細胞には径約0.1μの小孔が原形質を貫いてみられた.またこれらの小孔が集籏し,いわゆるsieve plateをつくるのが観察された.また径0.1~2.0μにおよぶ小孔もみられ,これらは内皮細胞とKupffer細胞(星細胞)の細胞間隙として存在することもあった.ヒトにおいても,その肝類洞内皮には径0.05~0.65μの小孔が集簇し,いわゆるsieve plateをつくるのが認められた.
    一方,四塩化炭素投与によって作製したラット肝硬変肝,およびヒト肝硬変肝の類洞内皮細胞における小孔は数が減少する傾向にあり,部位によってはDisse腔に基底膜様構造物が出現し,また間葉系細胞や線維の増殖,時にfat storing cellの増加がみられた.肝硬変肝におけるこれらの変化は,類洞と肝細胞間の自由な物質の交換を阻害し,肝細胞障害を更に増悪させることが示唆された.
  • 志方 俊夫, 柄沢 勉
    1977 年 18 巻 11 号 p. 814-820
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症を示す肝線維症で門脈圧の亢進をおこす原因は,門脈の最末端の枝の狭窄及至は閉塞であると考えられている.確かに組織学的に小さいGlisson鞘に於いて著明な門脈枝の狭窄及至は消失がみられる症例がある.然し一方一見すると肝内の血管系,殊に中等大の門脈枝,Glisson鞘周囲のinlet venule,類洞の一部,又中心静脈が異常に拡大している症例もある.この異常血行路がどこから血液を受け,如何なる意味を持っているか3例の症例で連続切片を作製して検討した.その結果,拡張したinlet venule,類洞,中心静脈は一連の異常血行路であって,肝動脈枝から血液を受け,いわば肝動脈,肝静脈間の短絡を形成していることが明らかになった.又拡張した中等大の門脈枝には肝動脈とのかなり大きな吻合がみられ,動脈血の流入があると考えられた.
  • 中沼 安二, 太田 五六
    1977 年 18 巻 11 号 p. 821-830
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    グ鞘において胆管と動脈が伴走しているという事実に基き,動脈を基準とした肝内胆管系検索のための組織計測法を呈示した.この方法により,PBCの消失胆管のレベルとその程度を検索した.その結果,PBC(23例)では本来約70~80μ以下の胆管からその消失がみられ,小型の胆管ほど消失の著しいことが示唆された.また,PBC I期では他の病期に較べ,胆管消失の程度が軽度であったが,II期以降では胆管消失は進行しないだろうと思われた.
    PBCにみられる著しい胆管消失(とくに小型胆管)が,PBCにみられる慢性肝内胆汁うっ滞ならびにPBCの慢性・致死的経過に重要な役割を担っていることを述べた.
  • 松嶋 喬, 佐藤 隆次, 大屋 隆介, 南原 康二, 柏木 道彦, 山田 純一, 大谷 宣人, 白石 忠雄
    1977 年 18 巻 11 号 p. 831-837
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    体重250g前後のウイスター系雄性ラットに体重kg当り350mgのD-Galactosamine-HClを隔日投与4週後のラットは,肝小葉の巣状壊死,門脈域の細胞浸潤,細胆管の増生を認めたが,門脈域の線維増生は明らかでなかった.γ-GTPの酵素組織化学的所見では,巣状壊死周辺の肝細胞および小葉周辺帯の肝細胞の毛細胆管側の活性増強,門脈域の浸潤細胞の一部,および増生した細胆管上皮が染色された.また,血清,肝ホモジネートともにγ-GTP活性は増加した.慢性肝炎例のγ-GTPの酵素組織化学的所見では血清γ-GTP活性が高値を呈する例では,小葉周辺帯の肝細胞の毛細胆管側,門脈域の浸潤細胞の一部,増生した細胆管上皮の染色性が増加した.以上より慢性肝疾患の血清γ-GTP活性は,肝の活動性病変と関連して変動することが示唆された.
  • 中牟田 健, 重藤 俊夫, 中瀬 渉夫, 吉岡 通夫, 高橋 章, 森本 高雄, 渡辺 寿彦, 神田 道郎
    1977 年 18 巻 11 号 p. 838-846
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    耐糖能の低下は,慢性肝炎,肝硬変で認められ,その程度は肝実質細胞障害の程度に比例し,糖質コルチコイド投与では,肝炎群でのみその低下を認めた.インスリン分泌は慢性肝炎,肝硬変で増加し,肝疾患の有無に関係なく,糖質コルチコイド投与で増加した.慢性肝炎,肝硬変ではΔIRI,ΔBS共に増加したが,糖質コルチコイド投与群では非肝疾患ではΔIRIがΔBSに比して高値であったが肝疾患群ではΔIRIに比してΔBSが高く,その比は低下した.FFAは肝硬変群で空腹時に高く,糖負荷後に低下したが,他群では対照と差を認めなかった.中性脂肪,Preβリポ蛋白,コレステロールは,非肝疾患で,糖質コルチコイドを投与した群で増加し,肝硬変群では全て低値であった.以上の成績より,肝疾患の進展により,糖脂質代謝の変動が認められ,糖質コルチコイドの影響は,肝疾患の有無により異なることが推測された.
  • 松本 由朗, 麻田 勇, 鈴木 敞, 中瀬 明, 本庄 一夫
    1977 年 18 巻 11 号 p. 847-855
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血中AFPによるスクリーニング法の開発を目的として,まず96例の進行原発性肝細胞癌の血中AFP動態とその臨床像の相関を検討した.50例は血中AFP値が初診時から,ほとんど全経過10μg/ml以上の値で変動し,変動幅は1週間に10μg/mlかそれ以上の値で,生存期間は6カ月以内の症例がほとんどであった(Group A).他の27例は初診時200~1,000ng/ml程度で,全経過中ほとんど10μg/ml以下の値を示し,3~4カ月に1,000ng/ml程度の変動を示し,生存期間は6カ月から1年半の症例が多い(Group B).残る19例はほとんど血中AFP値は200ng/ml以下で,8例は生存期間5カ月以内,他の11例は逆に2年半から数年の生存を示した.Group Aのhepatomaは,AFP値10μg/ml以下の場合は腫瘍も小さく,血中AFP値200ng/mlでスクリーニングすると微小のhepatomaを発見し得る.Group B,Cについては血中AFP値は早期診断に役立たない.
  • 村脇 義和, 吉田 勝彦, 平山 千里, 中尾 武久, 中家 康博
    1977 年 18 巻 11 号 p. 856-863
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    20歳代の若年者で高アンモニア血症,反復する意識障害,脳波異常などの臨床所見を示しながら,明瞭な肝機能障害や門脈大循環短絡を認めない2症例を経験した.これら症例についてアンモニア-尿素-アミノ酸代謝系の検索を行なった結果,それぞれ,Ornithine carbamoy-Itransferase, Argininosuccinate Synthetaseの部分欠損が推定された.
  • 由谷 親夫, 前田 尚徳, 吉田 秀雄, 中島 敏夫, 木村 正治
    1977 年 18 巻 11 号 p. 864-868
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    黄疸及び胆のう内胆石の手術により,肝内結石症の診断がなされ,5年の経過後,続発性胆汁性肝硬変症と化膿性肝内胆道炎で死亡した一剖検例を報告した.患者は38歳,男性で,前記術後黄疸が断続的に持続し,死亡約2カ月前,黄疸増強,腹部膨満があり,入院した.入院後,副腎皮質ステロイド等の治療にも拘らず,意識レベルの低下と共に死の転帰をとった.剖検により,欠損を思わせた著明な肝左葉の萎縮,肝内結石等を認めた.肝左葉の胆管は分岐部付近の狭窄により,著しく拡張しており,胆石を容れ,左葉は線維性瘢痕組織に置き代っていた.同時に左葉へいく門脈枝の短縮と狭窄を認め,門脈枝は拡張した胆管と交叉し,内腔は圧迫され,硬化性狭窄,器質化血栓がみられた.肝左葉萎縮の原因として,胆道及び門脈枝の走行並びに狭窄拡張が重要な役割を果していると考えられた.
  • 西福 幸二, 山本 啓一, 上野 隆, 北見 啓之, 山口 毅一, 関根 隆光, 浪久 利彦
    1977 年 18 巻 11 号 p. 869
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 宮崎 竜之輔, 山岡 昌之, 中野 冬彦, 光永 慶吉, 前田 康夫
    1977 年 18 巻 11 号 p. 870
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
  • 特にPanendoscope (GIF-typeD3)観察例において
    井上 良一, 辻村 大次郎, 羽白 清, 山本 俊夫
    1977 年 18 巻 11 号 p. 871
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 18 巻 11 号 p. 872-888
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
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