肝疾患における自己抗体の検索を性別差の観点から行なった.対象は肝硬変60名,慢性肝炎33名,急性肝炎27名,脂肪肝9名の計129名.自己抗体は抗核抗体(蛍光抗体間接法),抗DNA抗体(赤血球間接凝集反応),リウマチ因子(血球凝集反応)を検索した.抗核抗体(P<0.05),抗DNA抗体(P<0.005),リウマチ因子ともに女性の陽性率が男性より高かった.
さらに抗核抗体陽性者は全員HBs抗原(RIA)陰性であった.このような結果は“性”というgeneticな要因が病因論的に大きな役割をはたしている可能性を示唆するものと考えられた.