肝臓
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血清中胆汁酸の酵素免疫学的測定法
尾崎 史郎田城 明子牧野 勲中川 昌一吉沢 逸雄
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1978 年 19 巻 3 号 p. 286-291

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抄録

微量な血中胆汁酸を測定するために充分な精度と感度を有する簡便な胆汁酸酵素免疫測定法をursodeoxycholic acidをモデルとして開発確立した.トレーサーとしてのursodeoxycholic acid-alkaline Phosphatase (calf intestine) conjugateは水溶性のcarbodiimideを使用して作製し,抗体はursodeoxycholic acid-bovine serum albumin conjugateをウサギに感作免疫して得た抗血清を使用した.血清検体はあらかじめ60℃1時間加温し検体中のalkaline phosphatase活性を除いたものをassayに供し,遊離型・結合型の分離は2抗体法を用い,結合型alkaline phosphatase活性はKing-King法で測定した.本assay系では, ursodeoxycholic acid (UDCA) 20p moles~900p molesの範囲で測定することが可能で,先に私達が発表したradioimmunoassay (RIA)と比肩できる感度を有し,健康者空腹時血清でも検体0.1mlでursodeoxycholic acid濃度を十分測定し得た.従来のgaschromatography(GLC), radioimmunoassay,それに本enzyme immunoassay(EIA)による測定値の間には極めて高い相関をみとめた(EIA vs. GLC r=0.92,EIA vs. RIA r=0.94).正常人空腹時血清を本assayで分析した結果ursodeoxycholic acidの平均濃度は0.274±0.116n moles/mlであった.胆汁酸enzyme immunoassayは簡便性と安全性においてradioimmunoassayにまさり今後一般臨床検査室でのルーチンな胆汁酸測定に応用することができると考える.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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