肝臓
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PBC集族家系における遺伝・免疫学的検討
加登 康洋鈴木 邦彦岩田 章中川 彦人鵜浦 雅誌林 哲二田中 敬三田中 延善熊谷 幹男西邨 啓吾小林 健一服部 信中沼 安二太田 五六
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1980 年 21 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

症例1. 38歳,女性.皮膚掻痒感,黄疸,Al-pおよびIgMの高値,抗ミトコンドリア抗体(AMA)および抗平滑筋抗体(ASMA)陽性,外科的襖状生検肝所見(Scheuer II期)などよりPBCと診断した.症例2. 53歳,症例1の父.黄疸出現後6年目に肝不全にて死亡.免疫学的検索は未施行だが,剖検肝の検索よりPBC, Scheuer IV期と診断した.症例1の長男13歳,次男7歳,母58歳,弟I 35歳,弟II 34歳,妹I 33歳,妹II 32歳に行なった肝機能検査では,長男に軽度異常が認められた.血中自己抗体の検索では,AMAは症例1のみであったが,ASMAは症例1,長男,次男,母,妹IIに,抗核抗体は妹IIに検出された.T cellは症例1をはじめ,長男,弟妹4人に低下がみられた.症例1と長男はともにA9-B5のHLA haplotypeが検出され,家族の組合せから,症例2もA9-B5のhaplotypeを有しているものと推論された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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