2018 年 2 巻 論文ID: 2017-017
これまで医療行為と解釈されてきた薬剤師による聴診や血圧測定等が,適法と解釈され,臨床現場での実施が可能となった.これにより,改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにフィジカルアセスメント(PA)が盛り込まれ,客観的臨床能力試験(OSCE)にPA課題の導入が検討されているものの,PA課題に対応した模擬患者(SP)の養成等に関する検討は行われていない.そこで,薬学生が行うPAと在宅医療に関するSPの意識調査を行った.SPは「在宅医療」やPAについて,少なからず知識や関心を持っていた.これらの結果は,一般の患者より高くなっていた.さらに,SPは,聴診に対して,その他の項目ほど受けたいと思っていないことが明らかとなった.そして,この傾向は,女性で高くなることが明らかとなった.したがって,PA課題を円滑に実施するためには,薬剤師教育(医療人)を十分理解したSPを養成する必要があるとともに,SPの立場に立った細かな配慮を行う必要があることが明らかとなった.