肝臓
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人工透析施設における肝障害の実態
6年間の追跡調査を中心として
塚田 勝比古藤野 信男広瀬 昭憲鈴木 邦彦伊藤 誠武内 俊彦三井 健宏伊藤 晃山崎 親雄増子 美奈子増子 和郎
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1980 年 21 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

過去6年間にわたり人工透析施設の肝障害の実態とその特徴を計5回のアンケート調査により追跡した.また,中規模透析2施設においては詳細なHB virus関連抗原,抗体の検索を行なった.6年間で透析患者数は548名より2,433名と増加,各年度における肝障害を有する比率は,12.2%~15.0%で,HBs抗原陽性率は全透析患者中では6.5%~9.8%,肝障害者中では12.9%~26.9%の範囲にありいずれもきわめて高率で減少傾向がみられなかった.1974年度に肝障害を有し5年後まで追跡できた53例の検討より,25例(47%)が5年後においても比較的軽いTransaminaseの異常が認められ遷延傾向が窺われた. HB virus関連抗原,抗体の検索では透析患者190例中20例(10.5%)にHBs抗原陽性,77例(40.5%)がHBs抗体陽性であった. HBs抗原陽性者20例中,e抗原14例(70%), e抗体3例(15.0%)が陽性で,e抗原陽性率が高かった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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