肝臓
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glucagon-insulinによる肝不全の治療
第1報 glucagon-insulin療法による肝性脳症の改善と血中アンモニアの変動
菅 充生細川 幸夫横山 洋子木下 博安斎 哲郎藤嶋 彰藤田 英雄斉藤 美知子白井 祐一
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1980 年 21 巻 12 号 p. 1631-1636

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抄録

肝性脳症を伴う急性肝不全2例,慢性肝不全6例にglucagon-insulin(以下G-I)療法を行い,本療法の有効性を検討した.その結果G-I療法で救命できたものは,急性肝不全2/2例,慢性肝不全2/6例で,半数で救命効果があった.一時的覚醒例を含めて,経過中意識レベルの改善を認めたものは7/8例であり,覚醒までの治療日数は平均4日であった.肝性脳症改善前後の血中アンモニア値を比較すると,有効例では治療前177±86μg/dlと上昇していたアンモニアが,覚醒後は75±47μg/dlと減少したが,無効例では減少は認められなかった.さらにG-I点滴静注前後3時間内に,アンモニアの著明な減少を認めた.肝機能検査では急性肝不全2例はともにGOT, GPTの改善があったが,慢性肝不全では明らかな傾向は認められなかった.以上よりG-I療法は従来の治療法に劣らない極めて有効な治療法であり,本療法の作用機序について,文献的考察を加えた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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