肝臓
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血清中の肝産生凝固因子と有効肝血流量,血清アルブミン,ガンマグロブリン,トランスアミナーゼ値等の相互関係に関する相関解析法による研究
藤井 正博安永 幸二郎内野 治人
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1980 年 21 巻 2 号 p. 178-182

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抄録

肝臓においてビタミンKの影響下で産生される血液凝固因子は,肝臓の蛋白合成能を反映し特に肝疾患の重症度の判定に役立つと言われている.そこで,プロトロンビン時間及びこの検査法として近年開発されたヘパプラスチンテストと,血清アルブミン,ガンマグロブリン,SGPT及び有効肝血流量等の間の相互関係に関して,約50例の肝炎肝硬変患者から得られた測定値により相関解析を試み,この凝固因子測定の意義を明らかにしようとした.
単相関係数はヘパプラスチンテスト,プロトロンビン時間,アルブミン値及び有効肝血流量の間で高い相関を示した.しかしSGPT或はガンマグロブリン値と上述の他の検査値との間では有意でなかった.所が偏相関係数では,ヘパプラスチンテスト或はアルブミン値と有効肝血流量との間には高い相関が認められるが,ヘパプラスチンテストとアルブミン値との間では有意な相関関係が存在しないことが示された.有効肝血流量は肝実質量に比例するとみなされるから,上述の結果から,血清中肝産生凝固因子は血清アルブミン同様肝細胞量を反映していると考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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