肝臓
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肝疾患における有効肝血流量と肝容積測定の臨床的意義
藤井 正博内野 治人
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1980 年 21 巻 2 号 p. 183-189

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抄録

肝実質を循環する有効肝血流量と肝容積の測定に関し,肝疾患の進行度或は重症度の把握という観点で,その診断的意義を明らかにしようと試みた.有効肝血流量は,198Auコロイドの消失係数と投与量に効する肝摂取量の比との積として与えられる肝クリアランスにより求めた.肝容積はガンマカメラとマトリックスデータから算出した.有効肝血流量は良好な経過をたどった急性肝炎例では正常ないし軽度の低下をみたにとどまったが,劇症肝炎例では著明に減少していた.慢性肝炎肝硬変例における生検所見との対比では,肝疾患の進行が有効肝血流量の減少と肝容積の有効肝血流量に対する比率の増大を伴っていることを示す結果を得た.有効肝血流量の正常例における観察では,有効肝血流量と肝容積の間に有意の正の相関が認められ,早朝,絶食,仰臥位,非麻酔下で測定される有効肝血流量は肝実質量即ち肝細胞量に比例していることが示唆された.従って有効肝血流量と肝容積の測定は,機能部分である肝実質量と,間質の如き非機能部分との定量的把握であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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