抄録
原発性肝癌の診断のもとに開腹した46例のうち,肝癌の認められなかった症例が4例(9%)ある.うち2例は血管造影にて診断され,各々右葉切除,左外側区域切除をおこない,他の2例はCTにて診断されいずれも試験開腹術にとどめた.血管造影にて診断された2例のうち1例は左肝動脈より分岐したaccessory left gastric arteryによる胃壁の濃染像を肝癌と誤診した症例で,超撰択的肝動脈造影がroutineに行なわれるようになった現在,同様のあやまちをおかす可能性があるので,肝癌との鑑別点につき検討を加えた.1.胃壁の濃染像は肝癌のそれと異なり均一である.2.静脈相におけるdrainage veinは左胃静脈の走行を示す.3.胃壁の濃染像は胃穹隆部の伸展度の差により形態が変化する.4.accessory left gastric arteryはumbilical pointの中枢側より左肝動脈から分岐する.5.立体造影,読影によりその走行はさらに明瞭となり肝癌との区別も容易となる.