抄録
門脈圧充進症90例を対象にCoil Planet Centrifuge systemによる赤血球浸透圧抵抗の測定と赤血球形態の観察を試み,肝機能と脾機能の影響を検討した.
脾摘出後の溶血終了点は著しく低張側に偏位する(浸透圧抵抗増強)とともに,標的赤血球の出現をみた.溶血終了点は標的赤血球が多数出現するほど低張側に偏位する一定の関係が判明した.脾摘出前の溶血終了点は,本症における肝障害の存在にもかかわらず健常群と変らず,基礎疾患群による差異も認めなかった.脾腫の存在により,赤血球の球状化,脆弱性獲得機転が働き,浸透圧抵抗が減弱するためと考えられた.脾摘出前後の肝機能は血清総コレステロールの上昇を除いて一定の傾向を認めず,脾機能亢進を伴う門脈圧充進症での赤血球の浸透圧抵抗性は,肝機能よりも脾機能の影響を強く受けることが判明した.脾摘出前に認められた貧血は脾摘出により改善し,血清ビリルビンは低下した.脾での溶血機転が除去された結果と考えられた.