肝臓
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肝門部アミロイド腫瘤により閉塞性黄疸を呈した原発性アミロイドーシスの一剖検例
川本 智章井戸 健一吉田 行雄関 秀一酒井 秀朗山中 桓夫木村 健斉藤 建
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1982 年 23 巻 6 号 p. 668-674

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抄録

症例は63歳,女性.昭和55年3月,顔面,四肢の浮腫が出現し,ネフローゼ症候群と肝機能障害を指摘された.翌年3月より黄疸が出現し,当科へ入院.入院時,全身の浮腫及び眼険結膜に貧血を認め,腹部で肝臓を2横指触知した.肝機能検査では血清総ビリルビン6.7mg/dl,GOT76mU/ml,GPT42mU/ml,Al-P2,357mU/mlであった.IgG-λtypeのM蛋白を1.89/dl認めた.1日尿蛋白は8.5g.胸部X線写真で心肥大,経皮経肝胆道造影で左右肝管合流部の狭窄,肝内胆管の拡張を認めた.4月17日,肝腎不全により死亡.剖検の結果,肝門部肝管が胆管外に存在するアミロイド腫瘤により狭窄をきたしていた.肝以外に腎,心,脾,肺および全身の血管にアミロイドを認めたことから原発性アミロイドーシスと診断された.肝アミロイド沈着により肝内閉塞性黄疸をきたすことは,何例か報告されているが,肝門部アミロイド腫瘤により閉塞性黄疸をきたした例は,極めて稀であるので報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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