肝臓
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脾転移により特発性脾破裂をみた肝細胞癌の1例
野田 八嗣福岡 賢一宮森 弘年田中 延善加登 康洋小林 健一服部 信中西 功夫桑島 章
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1982 年 23 巻 9 号 p. 1083-1087

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抄録

脾転移により特発性脾破裂をみた肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は,66歳男性で,右背部腫瘤を主訴として当科へ入院した.入院後,HBs抗原陽性で,血清AFP1,483ng/mlと高値を呈し,各種画像診断にて右IX肋骨と脾に転移を有する肝細胞癌と診断した.経過中,誘因なく左季肋下部激痛を訴え,ショック状態となり,貧血と血性腹水が認められた.輸血と止血剤にて,ショック状態の改善をみたが,1カ月後肝不全にて死亡した.剖検では,Edmondson II型の結節状肝細胞癌が肝両葉にまたがって存在し,非癌部は乙型肝硬変であった.肝内門脈には腫瘍塞栓を認め,脾・右IX肋骨・リンパ節に転移を認めた.また,3,500mlの血性腹水を認め,脾転移部位には350gの血腫と破裂の所見を認めた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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