肝臓
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コンピュータによる組織像の解析-正常肝組織及び肝細胞癌組織について-
貫野 徹西口 修平門奈 丈之山本 祐夫広田 一仁三橋 武弘嶋崎 昌義山下 一美
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1983 年 24 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

コンピュータによる組織像の解析を進めるに当たり,組織構造とは組織学的構成要素が標本内で持つ相互位置関係であるとの理解のもとに,正常肝組織並びに肝細胞癌組織について,客観的に特徴描出ができる7種類のパラメータを求め,組織像の解析を試みた.
まず各肝組織標本の顕微鏡写真を作成し,写真上の単位領域(170μm径,これは標本上の0.8μm径に相当)の明るさを数値化し,次いでこの数値より7種類の特徴パラメータを算出し,各写真の明暗の分布パターンを表現した.
解析の結果,正常肝組織はHE染色標本において,肝癌組織とは明らかに異なったパターンを示すことが明らかとなった.更に,肝癌の高分化型と低分化型の差異をも判別する可能性が示唆された.また,因子分析による解析の結果得られた2因子軸平面上への投影図から,正常肝,高分化型及び低分化型肝癌の組織像の特徴が視覚的にもとらえ得ることが示された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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