肝臓
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ヒト肝表在リンパ管の正常構築に関する研究
北爪 伸仁
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1983 年 24 巻 6 号 p. 581-590

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抄録

238例の剖検肝につき,肝漿膜下結合組織内のリンパ管を確保し,バリウムあるいはIndia-inkなどを注入して肝表在リンパ管構築を観察し,次の結果を得た.1.正常肝の肝表在リンパ管は,肝毛細リンパ管,肝リンパ管,及び肝リンパ本幹の3種に識別できた.後二者は弁構造を有する.2.肝毛細リンパ管は,肝漿膜下結合組織内にあって,一個の肝小葉の肝被膜面あたり数十個から百数十個に及ぶ極めて細密な網目構造を形成している.これらの肝毛細リンパ管網は肝毛細リンパ管の集合管に移行し,集合管はさらに肝リンパ管に移行・集合する.3.肝リンパ管は,多くの肝毛細リンパ管網とその集合管を集め,肝漿膜下結合組織内を迂曲・蛇行して走行する.肝リンパ管相互間には多くの吻合をみる.4.肝リンパ本幹は,多くの肝リンパ管の集束・流入を受け,肝リンパを肝外へ導く導管である.肝上面では8群の,肝下面では6群の肝表在リンパ本幹群が識別できた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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