1983 年 24 巻 6 号 p. 591-597
組織学的検索に必要な充分な量の肝生検材料を除いた残りの材料を用いて,より多くの機能的検索を行うことを目的として,ミクロ法による,ミクロソーム分画の採取法を実験動物を用いて確立し,電子顕微鏡で小胞体やリボゾーム等のミクロソーム分画に含まれる細胞内小器管の存在することを確認した.さらに肝ミクロソームの有する機能の一つとしてチトクロームP450の微量定量法を,Thomasらの方法を改変し,検討した.本法により100 femto molesのチトクロームP450を測定可能であり,400 femto moles以下で相関係数r=0.975の検量線を作ることができた.臨床例についても施行したが,各症例とも0.1~0.3nmoles/mg microsomal proteinの比活性を有し,症例としては肝硬変では低値(0.09nmoles/mg microsomal protein),慢性肝炎では高値(0.25nmoles/mg microsomal protein)を示した.