肝臓
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充実性肝過誤腫(bile ductal fibroadenomatous type)の1例
園部 宏円山 英昭倉光 誠緒方 卓郎松浦 喜美夫
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1984 年 25 巻 10 号 p. 1318-1325

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抄録

1歳3ヵ月の女児に生じ,通常みることのない型の肝過誤腫例について述べる.3ヵ月前に腹部膨隆に気付いた,患者年齢,AFP高値,CT及び血管造影所見から,肝芽腫が強く疑われた.腫瘤は単発性に発生し,卵円形,弾力性硬,14.5×13×7cm, 900gで,肝左葉前縁より突出して腹腔前面を占めていた.割面では,病変は境界明瞭かつ充実性で,不整形島状実質と大小結節状間質とのモザイク状の混在としてみられた.組織学的には,問質は周囲に高度の線維化を伴う不規則な形状を示す強い胆管増生と,粗性結合織を伴う大小多数の血管増生よりなり,乳腺の管内型線維腺腫類似の像を呈した.実質は分化した形態を示し,増生する間質により削りとられ,増生傾向は窺えなかった.以上の所見から,本病変は充実性過誤腫で,その一義的変化は胆管の線維腺腫様増生であると見做すべきである.この理由から,私たちは本例 の病変をbile ductal fibroadenomatous hamartomaとして発表する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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