1986 年 27 巻 6 号 p. 753-761
AMA亜分画についてはPBCでは極めて高頻度にM2抗体のみが,また類縁疾患である慢性活動性肝炎-原発性胆汁性肝硬変症混合型(CAH-PBC mixed type)ではM2抗体に加えてM4抗体が出現の傾向にあるとされる.今回PBC 26例,定型的なCAH-PBC mixed type 2例を対象に補体結合反応(CFT), Western blotting (WB)により両抗体の出現頻度を検討し,同時にWBを用いて両抗体の対応抗原について検索した.CFTではM2抗体は両疾患とも全例で陽性.M4抗体はPBC 26例中4例,CAH-PBC mixed type 2例中2例で陽性を示した.WBではM2抗体は全例陽性.M4抗体はPBCで26例中7例で陽性,CAH-PBC mixed type 2例中2例で陽性.WBによる検索でM2抗原は単一の抗原でなく分子量72, 67, 59, 57, 56, 52, 45, 42K.D.の対応抗原が種々の頻度で検出された.しかしM4抗原は39K.D.の単一の抗原でありsubmitochondria particlesのtrypsin処理により新しく出現した抗原であるとの結論を得た.