肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
HBs抗原キャリアの肝細胞癌罹患リスク
津熊 秀明藤本 伊三郎大島 明日本肝癌研究会
著者情報
キーワード: 肝細胞癌, HBs抗原, 飲酒歴
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 9 号 p. 1281-1289

詳細
抄録

既存資料を利用して,わが国における肝細胞癌(HCC)の罹患率(1980)を性,年齢階級別,HBs抗原陰性陽性別,多飲歴の有無別に推計するとともに,各群におけるHCC発生のRelative riskと30~74歳までのCumulative riskを推定した.
1) HBs抗原陽性者では,男女ともHCC罹患率は,30歳代から指数関数的に急上昇したが,50歳代の後半からほぼ一定となった.2) HBs抗原陰性者でのHCC罹患リスクを1.0とした時の陽性者のRelative riskを性,年齢階級別に推計すると,男では40歳代の前半まで,女では40歳代の後半まで100前後となり,それ以降の年齢層に比べ著しく高くなった.3) HBs抗原陽性者でのCumulative riskは,男で20%,女で5.6%と計算されたが,一方陰性者では,男で1.7%,女で0.45%となった.4) 男のHBs抗原陰性者でのCumulative riskは,多飲歴のない者で1.2%,ある者で5.0%となった.HBs抗原陽性者では,多飲歴のない者で16%,ある者で40%と計算された.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top