肝臓
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シメチジンによるCCl4肝障害の抑制とその機序に関する検討
奥野 府夫中野 洋一郎荒井 正夫筋田 和文平野 芳昭江藤 澄哉石井 裕正
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1988 年 29 巻 11 号 p. 1483-1488

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抄録

H2プロッカーのシメチジンをラットにCCl4投与1時間前に投与することにより生ずる肝障害抑制のメカニズムを検討した.1.0ml/kg BWのCCl4に対して75mg/kg BWのシメチジン前投与では肝障害抑制作用はなく,150mg/kg Bwの量を必要とした.150mg/kg BWのシメチジンの前投与によって血清GOT・GPT値の上昇は有意に抑制され,組織学的にも脂肪変性・肝細胞壊死の程度は極めて軽減された.肝チトクロームP-450量はCCl4により50%以下に著減したが,シメチジンによりその減少は有意に抑制された.血中・肝臓中の過酸化脂質量(MDA)はCCl4により著増したが,シメチジンによりその増加が抑制された.肝臓中GSH量はCCl4・シメチジン投与によっていずれも変動はみられなかった.CCl4の肝障害発現には脂質の過酸化が重要であり,シメチジンはこの過酸化脂質の産生を抑制することによって肝障害を軽減するものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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