1988 年 29 巻 11 号 p. 1521-1527
肝動脈・門脈短絡と肝動脈・静脈短絡様病態を明らかにすることができたRenduOsler-Weber病(以下R・O・W病)の2例を経験した.1例は臨床症状発現の点で特徴的というには躊躇を覚えるものの,画像診断法,ことに血管造影法において,症状発現の基盤となる血管病変を明らかにすることができた.自験例2症例における腹腔動脈造影では,総肝動脈の肝門部から肝内にわたる分枝の拡張と蛇行像がみられ,かつ肝動脈・門脈短絡が明らかになった.心カテーテル検査による血中酸素飽和度測定では,下大静脈の肝静脈流入部下方で,症例1:73.5%,症例2:73%,また肝静脈流入部上方で,症例1:85.5%,症例2:84.5%と酸素飽和度の上昇が認められた.症例2においては,腹腔鏡下肝表面に比較的特徴のある所見が観察され,肝生検組織像で肝内血管の拡張像が認められた.