肝臓
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髄膜腫の多発性肝転移の1例
吉田 和彦山崎 晋太田 恵一郎幕内 雅敏長谷川 博高安 賢一森山 紀之渋井 荘一郎野口 雅之広橋 説雄臼井 健二清水 蔵一後藤 成生
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1988 年 29 巻 11 号 p. 1528-1534

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抄録

今回,著者らは髄膜腫の多発性肝転移に対し,肝切除を施行し得た症例を経験した.
症例は33歳の男性で,1978年髄膜腫にて腫瘍の摘出を受け,6年後の1984年,右季肋部痛が出現.精査の結果転移性肝腫瘍が疑われたが,確定診断は得られないまま1984年10月,拡大右葉切除術にて腫瘍を摘出した.組織学的検査では,6年間に切除された脳腫瘍の組織学的所見とほぼ一致したため,髄膜腫の肝転移と診断された.1985年6月,CTにて残肝に再発を認め,同年8月再び肝部分切除を施行した.その後再び頭蓋内にも再発を認め,同年10月に開頭術を施行した.
髄膜腫の肝転移に対して治療を目的に肝切除を行ったという報告はなく,教訓的な症例であるため報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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