肝臓
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急性ウイルス肝炎における血清type III procollagen N-peptideの変動と免疫組織化学的検討
犬塚 貞孝
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1988 年 29 巻 8 号 p. 1023-1030

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抄録

急性ウイルス肝炎20例を対象とし,血清type III procollagen N-peptide (P-III-P)値の測定および抗type III collagen抗体を用いたperaxidase酵素抗体間接法による肝臓の組織学的検討を行った.急性肝炎では血清P-III-P値が高値を呈し,門脈域の細胞浸潤や巣状壊死の程度と正の相関を呈した.さらに門脈域や巣状壊死部位の線維に一致してtype III collagenの強い局在を認めた.電顕的観察では門脈域や巣状壊死部位にtransitionalな伊東細胞や直径40nm前後のtype III collagenを示唆する線維状構造物を認めた.同領域の免疫電顕的観察では伊東細胞および肝細胞の粗面小胞体内に反応産物を認めた.このように急性肝炎の炎症の過程において,血清P-III-P値は肝内でのtype III collagenの合成亢進,線維形成を反映し,この線維形成は肝細胞障害に対する防御・修復機構としての細胞外基質の増加を示唆しているものと考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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