肝臓
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B型肝疾患における肝細胞内HBs抗原とHBc抗原の局在:二重染色を含む免疫組織化学的研究
桑原 芳弘小島 隆井上 恭一松井 俊二郎青山 圭一佐々木 博
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1988 年 29 巻 8 号 p. 1013-1022

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抄録

肝細胞壊死に際しHBVの果たす役割の解明を目的とし,B型肝疾患患者247例より得た肝組織を用い,β-galactosidaseとperoxidase標識抗体を用いた二重染色法によりHBs抗原とHBc抗原の組織内分布および肝細胞内局在様式を炎症性変化との関連において解析した.膜型HBs抗原はNSRHにおいて高頻度(27.9%)で観察され,CAH(14.3%)でも主として門脈域周辺部で巣状に観察された.HBc抗原の肝細胞内局在の傾向はNSRHは核型,CAHは主として細胞質型であった.酵素抗体二重染色法による検討では炎症性変化の強い部位な中心にしてHBs抗原およびHBc抗原がともに同一肝細胞の細胞質内に観察された.以上の所見より,B型肝炎の肝細胞障害に際しては,HBVおよびその関連抗原の異常な増殖が,リンパ球を介しての細胞障害に密接に関与しているものと推測された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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