肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝性脳症を伴う非代償性肝硬変患者に対する特殊アミノ酸経腸栄養剤の臨床的研究
Historical Dataの比較検討
市田 文弘柴崎 浩一武藤 泰敏佐藤 俊一渡辺 明治
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 29 巻 8 号 p. 1051-1061

詳細
抄録

全国49施設から集計された96例の非代償性肝硬変症例に対し,特殊アミノ酸経腸栄養剤(SF-1008C)を長期間投与し,臨床症状の改善6程度,栄養指標の推移ならびに延命効果などからその有用性を検討した.羽ばたき振戦,Nwnher connection test,昏睡度などの精神・神経症状は,投与後2週目から明らかに改善し,以後6ヵ月までの全ての期間で有意の改善を認めた.また,投与開始6週目には約半数が,3ヵ月目以降は70%以上の症例が外来管理可能となり,Performance statusも2週目以降,有意の改善を認めた.さらにFischer比の改善,栄養指標の改善も認められ,全般改善度,安全度,有用度も高率であった.SF-1008C投与群における累積生存率はHistorical Data群に比し有意に勝っていることから,本剤は非代償性肝硬変患者の延命に寄与し得るものと結論された.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top