1988 年 29 巻 8 号 p. 1051-1061
全国49施設から集計された96例の非代償性肝硬変症例に対し,特殊アミノ酸経腸栄養剤(SF-1008C)を長期間投与し,臨床症状の改善6程度,栄養指標の推移ならびに延命効果などからその有用性を検討した.羽ばたき振戦,Nwnher connection test,昏睡度などの精神・神経症状は,投与後2週目から明らかに改善し,以後6ヵ月までの全ての期間で有意の改善を認めた.また,投与開始6週目には約半数が,3ヵ月目以降は70%以上の症例が外来管理可能となり,Performance statusも2週目以降,有意の改善を認めた.さらにFischer比の改善,栄養指標の改善も認められ,全般改善度,安全度,有用度も高率であった.SF-1008C投与群における累積生存率はHistorical Data群に比し有意に勝っていることから,本剤は非代償性肝硬変患者の延命に寄与し得るものと結論された.