1988 年 29 巻 8 号 p. 1062-1067
Dimethylnitrosamineを経門脈的に投与し急性肝不全犬を作製し,急性肝不全にいたるまでの門脈血中膵内分泌動態を検討することによって肝膵相関へのアプローチを試みた.その結果,門脈血中インスリン(IRI)は肝障害の軽度の時は,対照に比し高値となったが肝障害が進むにつれて漸減し,対照に近似した.一方,門脈血中グルカゴン(IRG)は肝障害が進むにつれて,対照に比し高値となり,駐不全時には著しい高IRG,低血糖を呈した.このような膵ホルモン動態を呈した原因としては,肝障害が進行するにつれて,肝細胞膜のglucagon rece-ptorの数が低下し,そのため高グルカゴン血症を呈したものと考えた.