症例は48歳女性.昭和59年より肝機能障害といわれ近医より投薬を受けていたが,昭和61年6月東京武蔵野病院を受診,自他覚所見に乏しく,血清GOTのみ203mU/mlと高値,GPT 10mU/mlと解離し,以後不変であったため,昭和62年3月精査入院となった.胸腹部,神経筋に異常所見なし.GOT 305mU/ml, GFT 12mU/ml. CPKなど筋酵素は正常.肝生検では光顕,電顕ともに異常なく,肝可溶性分画のGOT, GPTはともに正常.本例の血清GOTは電気泳動上sGOTとmGOTの中間に異常活性帯として泳動,Sephadex G-200ゲル濾過上免疫グロブリンとの高分子複合体を示し,免疫電気向流法にてsGOTとIgGκ型との複合体であることが証明された.本例を含む免疫グロブリン結合GOTの24例について文献的考察を加え報告した.