肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
免疫グロブリン結合GOTの1例
杉本 元信伊東 高仁安部井 徹佐々木 憲一石井 裕正堀井 康司
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 29 巻 8 号 p. 1106-1111

詳細
抄録

症例は48歳女性.昭和59年より肝機能障害といわれ近医より投薬を受けていたが,昭和61年6月東京武蔵野病院を受診,自他覚所見に乏しく,血清GOTのみ203mU/mlと高値,GPT 10mU/mlと解離し,以後不変であったため,昭和62年3月精査入院となった.胸腹部,神経筋に異常所見なし.GOT 305mU/ml, GFT 12mU/ml. CPKなど筋酵素は正常.肝生検では光顕,電顕ともに異常なく,肝可溶性分画のGOT, GPTはともに正常.本例の血清GOTは電気泳動上sGOTとmGOTの中間に異常活性帯として泳動,Sephadex G-200ゲル濾過上免疫グロブリンとの高分子複合体を示し,免疫電気向流法にてsGOTとIgGκ型との複合体であることが証明された.本例を含む免疫グロブリン結合GOTの24例について文献的考察を加え報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top