肝臓
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肝細胞癌非切除例における4年以上生存例の臨床病理学的検討
2年以内死亡例との比較
山下 健
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キーワード: 肝細胞癌, 長期生存, 治療
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1989 年 30 巻 11 号 p. 1606-1616

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抄録

1977年1月より1984年11月までに診断した肝細胞癌非切除例(以下肝癌)411例中,治療開始日より4年以上生存し得た14例についてその腫瘍因子,背景因子,治療法など臨床病理学的特徴を検討した.また腫瘍径が3cm以下で2年以内に死亡した18例と各因子を比較し以下の結果が得られた.1)最長生存期間は6年5ヵ月であった.2)腫瘍径が3cm以下の単発の結節型肝癌が多く,組織学的にはEdmondson-Steiner分類のII型までの分化度の高い肝癌であった.3)アルコール常習飲酒が病因と考えられる肝癌が多く,しかも治療開始前より断酒を継続した症例であった.4)治療法は多数回の治療を繰り返し行い,早期に良好な効果が得られた症例であった.以上より長期生存例の特徴は,組織学的に分化度が高く,アルコールが病因と考えられ,断酒を継続した肝癌で,多数回の集学的治療を受けていた症例であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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