肝臓
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アルコール性肝障害に及ぼす性差の影響
山内 眞義平川 淳一木村 和夫中島 尚登中原 正雄中山 一北原 敏久大畑 充片山 辰郎高原 仁藤沢 洌亀田 治男
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1989 年 30 巻 6 号 p. 643-648

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抄録

雌と雄ラットに慢性アルコール投与を行い,アルコール性肝障害の発症と伸展に及ぼす性差の影響を検討した.雌アルコール群で最も肝ハイドロオキシプロリンの増加を認め,雌のほうが雄に比べてアルコール性肝障害になりやすいことを実験的に明らかにした.雌アルコール群では,雌コントロール群に対して,アルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性及びエタノール除去率はいずれも低下するのに対して,雄アルコール群では雄コントロール群に対してADH,ALDHは高活性を示し,エタノール除去率も速やかとなった.
以上より女性のアルコール性肝障害に対する高感受性の原因として,男女間の常習飲酒に対するアルコール代謝の変動の差異が一因と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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