肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝細胞癌門脈腫瘍浸潤例(門脈本幹,一次分枝閉塞例)に対するSMANCS-Lipiodol動脈内注入療法の検討
諏訪 和宏佐藤 守男浜地 順子前田 美保塩山 靖和大門 幹子田中 宏昭川端 衛山田 龍作今野 俊光前田 浩
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 30 巻 8 号 p. 898-903

詳細
抄録
肝細胞癌門脈腫瘍浸潤例(門脈本幹,一次分枝閉塞例)24例に対してSMANCS-LPDの動脈内注入療法を行ない,その治療成績を検討した.24例中7例に主腫瘍の縮小を認め,5例に門脈腫瘍栓の縮小を認めた.術後1年以上の長期生存例は4例(うち2例は2年以上)で,3ヵ月未満の早期死亡例は7例であった.対照群の3ヵ月生存率15.8%,6ヵ月生存率0%に対して,同療法群では,3ヵ月生存率58.4%,6ヵ月生存率33.4%,1年生存率15.0%,2年生存率10.0%であり,同療法は門脈本幹,一次分枝閉塞肝細胞癌例に対する有効な治療法となる可能性が示唆された.長期生存例では術前の肝機能は良好であった.術前の血清T.Bil.値が3.0mg/dlをこえる症例では予後は不良であった.また,1回のSMANCS-LPD注入量が6mlをこえた例で術後早期に肝不全で死亡した例があり,同療法を安全に施行するには,1回注入量は4ml前後が適当であると考えられた.
著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top