肝臓
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ラット肝部分切除後の肝癌増殖促進効果に関する機序検討
ヒト肝癌術後の早期再発に関する実験的機序解析
波江 野力武市 紀年秦 温信小林 博内野 純一
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1989 年 30 巻 8 号 p. 889-897

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抄録
ヒト肝癌術後の早期再発の本態を解明する目的で,ラットの肝部分切除(PH)が皮下移植肝癌(KDH-8細胞)の増殖を促進する機序を,宿主の術後免疫能の変動,肝癌細胞質内のestrogen receptor (E2R)の表現および肝再生因子の観点から解析した.その結果,宿主の術後免疫能(NK活性,Blastogenesis)の変動はPH後の肝癌の増殖動態と相関せず,またKDH-8細胞のE2Rは検出できなかった.PH後24時間目の非担癌ラット血清をゲル濾過にて50個の血清分画に分け各分画の細胞増殖促進効果を検討したところ,分子量約10万強の血清分画のみが初代培養肝細胞およびKDH-8細胞の増殖をともに促進した.さらに,PHとKDH-8細胞(500個)移植との間に時間差を設け腫瘍出現所要日数を指標としたin vivo assayにおいても肝再生因子が肝癌の増殖を促進するという結果を得た.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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