B型肝炎において,肝細胞表面のHLA class I抗原表出と肝細胞障害の関係を検討したところ,HLA陽性例での血清GPT値は陰性例に比し有意に(p<0.01)高値を示した.末梢血単核球のレクチン刺激下でのγ-interferon産生能は,健常者とHBVキャリアーとの間やHBVキャリアーの病態による差は見られなかったが,α-interferon同時添加によりγ-interferon産生能は,血清GPT高値の症例で著明に賦活化され,血清GPT低値例では賦活されなかった.以上より,HBV感染症における肝細胞障害は,α-interferonに反応して末梢単核球により産生されたγ-interferonが,肝細胞膜上にHLA抗原を誘導する事によりHLA拘束性細胞性免疫が賦活されておこるものと考えられる.