肝臓
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B型肝疾患における肝細胞障害機構の検討
片山 和宏林 紀夫竹原 徹郎砥綿 崇博結城 暢一春名 能通萩原 秀紀佐々木 裕笠原 彰紀房本 英之佐藤 信紘鎌田 武信
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1139-1142

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抄録

B型肝炎において,肝細胞表面のHLA class I抗原表出と肝細胞障害の関係を検討したところ,HLA陽性例での血清GPT値は陰性例に比し有意に(p<0.01)高値を示した.末梢血単核球のレクチン刺激下でのγ-interferon産生能は,健常者とHBVキャリアーとの間やHBVキャリアーの病態による差は見られなかったが,α-interferon同時添加によりγ-interferon産生能は,血清GPT高値の症例で著明に賦活化され,血清GPT低値例では賦活されなかった.以上より,HBV感染症における肝細胞障害は,α-interferonに反応して末梢単核球により産生されたγ-interferonが,肝細胞膜上にHLA抗原を誘導する事によりHLA拘束性細胞性免疫が賦活されておこるものと考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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