肝臓
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マウスガラクトサミン肝障害における新生期胸腺摘出の影響
舛田 一成渡辺 恭行中西 敏夫池本 吉博小松 晃一伊藤 博之北本 幹也高野 弘嗣天野 始田村 徹中村 利夫三浦 敏夫神安 雅哉梶山 梧朗山本 正美
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1204-1209

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抄録

A/J系マウスのガラクトサミン肝障害における新生期胸腺摘出の影響を検討するため,正常マウス,生後2~3日に胸腺摘出したマウス,生後5日に胸腺摘出したマウスの3群において,肝組織像,血清抗LSP分画抗体価を経時的に観察した.正常マウス,生後2~3日に胸腺摘出したマウス共に急性期は広範肝壊死を生じたものの,正常マウスでは,Galactosamine (Gal-N)投与後1週で肝炎は治癒し,抗LSP分画抗体価は全て陰性であった.しかし生後2~3日に胸腺摘出した群では,Gal-N投与後3ヵ月でも,門脈域に高度の単核細胞浸潤を高率に認め,抗LSP分画抗体価も高値陽性が持続していた.一方生後5日に胸腺摘出した群では正常マウスと同様であった.以上よう,生後2~3日の新生期胸腺摘出により,ガラクトサミン肝障害の治癒の遷延化を認め,その原因はLSP分画に感作されるためであることが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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