1990 年 31 巻 10 号 p. 1197-1203
Magnetic resonance imaging (MRI)を用いた血流測定法の一つであるdirect bolus imaging (DBI)法により,血流速度の基礎的検討をした.さらに,健康成人と慢性肝疾患の門脈血流速度および血流量の比較検討を行ない,本法の有効性について検討した.
Phantom実験では,injectorによる流速の実測値とDBI法による流速値との間で,上方流がr=0.997,下方流がr=0.986と高い一次相関を得た.DBI法による門脈血流速度は,健康成人,慢性肝炎,肝硬変症の順に有意に減少した.また,門脈一次分岐部に近い程流速の低下傾向を示した.一方,門脈血流量は肝繊維化が増す病態程低下する傾向を示した.これより,門脈血流速度の測定は,慢性肝疾患の病態を把握する上で有用な検査法と考えられた.