肝臓
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線毛性前腸性肝嚢胞の1例
佐々木 素子寺田 忠史中沼 安二若林 時夫杉岡 五郎渡辺 騏七郎
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1235-1239

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抄録

線毛性前腸性肝嚢胞(Ciliated hepatic foregut cyst)の1例を報告する.症例は72歳の女性.慢性肝炎として経過観察中,超音波検査上にてSOLを指摘され精査目的で入院.画像診断では,径約3cm大の単発性肝癌結節と,それとは別に径約2cmの肝嚢胞を認め,外科的に切除された.肝癌結節はEdmondson III型の肝細胞癌であった.一方,嚢胞は,肝前下部の被膜直下に存在し,内腔に粘液が貯溜しており,組織学的に嚢胞は線毛を有する,呼吸上皮類似の円柱上皮に被覆され,壁には平滑筋層を認める特徴的な像を示し,線毛性前腸性肝嚢胞と診断された.本肝嚢胞は,世界的にも,わが国でもほとんど報告されていないが,注意深い観察により,意外に多い疾患である可能性を指摘した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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