肝臓
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画像所見により生前に診断された肝細胞癌・胆管細胞癌の混合型肝癌(重複癌)の1例
岡田 周市林 学松嵜 理若月 進炭田 正俊
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1990 年 31 巻 10 号 p. 1228-1234

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抄録

画像所見により生前に診断された肝細胞癌・胆管細胞癌の混合型肝癌(重複癌)の1例について報告する.症例は79歳,男性.心窩部腫瘤の精査のため当センターに入院.血液検査では肝機能の異常と腫瘍マーカー(AFP, CEA, CA19-9, PIVKA-II)の上昇を認めた.超音波では肝右葉前上区域に辺縁低エコー帯を伴う最大径6cmの等エコーの腫瘤,および肝左葉外側区域に末梢胆管の拡張を伴う境界不鮮明な混合エコー域を認めた.X線CTでは右葉の腫瘤は造影剤の急速注入によって早期(注入開始後20~40秒程度)に濃染した.PTCでは拡張した外側区域胆管の中枢側はほぼ完全に閉塞していた.以上のような臨床検査成績から右葉の腫瘤は肝細胞癌,左葉の腫瘤は胆管細胞癌と診断した.化学療法を行うが,診断後8ヵ月にて癌死した.剖検を行い,免疫組織化学的検索を含む腫瘤の病理学的所見から混合型肝癌(重複癌)であることを確認した.混合型肝癌,特に重複癌では画像所見の詳細な検討によりその臨床診断が可能と考える.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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