肝臓
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抗DNA polymerase αモノクロナト抗体を用いた,各種肝疾患における増殖期細胞の組織学的検討
坂口 浩樹関 守一柳井 篤川北 啓喜金 鎬俊西口 修平黒木 哲夫溝口 靖紘小林 絢三針原 重義高木 宏
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1990 年 31 巻 3 号 p. 265-271

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抄録

各種肝疾患患者を対象にして,抗DNA polymerase α (pol α)モノクロナル抗体を用いて肝組織を免疫組織化学的に染色し,光顕および電顕的に増殖期細胞の検討を行った.帯状壊死野を有する急性肝炎では,この壊死野に接してpol α陽性肝細胞が多く,炎症像の強い慢性活動性肝炎ではpiecemeal necrosisの近傍に陽性細胞が多く認められた.電顕的にこれらの細胞は幼若であった.以上の所見から,肝再生は壊死野の近傍において活発であると考えられた.また,肝細胞癌症例では,pol α陽性細胞の多くは幼若であり,本症例では,細胞は幼若なままで複数回分裂するものと考えられた.また,血中α-fetoprotein (AFP)値とpol αのlabelling index (LI)とが相関することから,LIは肝再生の組織学的な定量法として有用であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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