肝臓
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肝過形成性結節の形成過程における細胞動態解析DNA-GST-P顕微蛍光多重測光法を用いて
疋田 宇香川 恵造出口 武司竹内 孝幸多々 尚松本 匡史水野 雅之坂部 一夫岡上 武加嶋 敬
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1990 年 31 巻 3 号 p. 272-279

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抄録

実験肝癌で認められる初期過形成性結節およびその形成過程をbromodeoxyuridine標識法と細胞測光法により解析し,その細胞動態を明らかにすることを目的とした.細胞測光法については,サイズが小さい過形成性細胞巣では,グルタチオンS-トランスフェラーゼ胎盤型(GST-P)をマーカーとして用いるDNA-GST-P顕微蛍光多重測光法を,明らかな結節に対してはDNA顕微蛍光測光法を用いて解析した.
細胞巣は標識率(LI)が約30%の1核2倍体系の増殖細飽集団であり,結節への移行過程でそのLIは徐々に低下し,1核4倍体,8倍体細胞の増加(多倍体化)も認められた.結節では約2%のLIを示し,主要構成細胞が1核2倍体から1核4倍体細胞まで多様なプロイディ・パタンを示したが,非病変部とのプロイディの類似性から,4倍体細胞の比率の高い結節が再構成され,消失すると推察された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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