肝臓
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Thioacetamide投与によるラット肝硬変形成過程の細胞動態に関する研究
佐藤 泰彦小山 研二浅沼 義博面川 進佐藤 敬文吉田 節朗武正 寿明橋爪 隆弘
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キーワード: 肝硬変
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1990 年 31 巻 3 号 p. 280-286

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抄録

ThioacetamideをWistar系雄性ラットに最長32週間経口投与し,肝硬変形成過程の肝実質細胞および胆管上皮細胞の細胞動態をBromodeoxyuridineによるLabelling IndexとFlow CytometryによるDNAヒストグラムを用いて検討した.肝実質細胞はThioacetamide投与後8週までに4c細胞優位から2c細胞優位に変化し,肝硬変の再生結節は2c細胞で構成されていた.肝実質細胞のLabelling Indexはこの2c細胞増殖期と硬変化の初期に上昇するが,肝硬変の像が確立された再生結節ではむしろ低下し,これは前癌病変としての性格をもたないと考えられた.一方,胆管上皮細胞のLabelling IndexはThioacetamide投与直後から上昇し肝硬変形成過程でも高値を持続し,胆管類似組織の起源になることが示唆され,さらにこれら胆管類似組織の増生しているcholangio-fibrosisのLabelling Indexは著しく高く,前癌病変としての特性をもつものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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