肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝線維化におけるビトロネクチンの意義
血中および肝組織ビトロネクチンの免疫学的検討
小玉 俊典後藤 幹雄
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 31 巻 3 号 p. 287-293

詳細
抄録

肝線維化の病態におけるビトロネクチンの意義を明らかにするため,慢性活動性肝炎,肝硬変の肝生検材料を用いてビトロネクチンの局在を免疫組織学的に検索し,さらに,血中ビトロネクチンを酵素抗体法で測定した.
慢性活動性肝炎におけるビトロネクチンの肝組織内局在は肝線維化との関連では門脈域や中心静脈域線維化部にビトロネクチンの局在を認めた.他の細胞外基質の関連では弾性線維の分布と類似を認めた.肝細胞壊死との関連では肝細胞壊死部にビトロネクチンの局在を認めた.さらに肝動脈の内弾性板,門脈および中心静脈の内腔にビトロネクチンを認めた.肝硬変では再生結節を取り囲む線維性隔壁にビトロネクチンの局在を認めた.血清ビトロネクチン値は慢性肝炎,肝硬変で正常対照に比較して有意に低下していた.ビトロネクチンは肝線維化の進展と関連があることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top