肝臓
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肝細胞癌のアンジオエコー検査所見と病理組織の比較検討
中川 昌之
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1990 年 31 巻 3 号 p. 309-317

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抄録

肝細胞癌(以下HCC)切除例について肝動脈内炭酸ガス注入によるAngioechography(以下アンジオエコー)の画像と病理組織所見とを対比した.対象はHCC切除例中直径2cm以下の32症例46結節である.肝腫瘍のアンジオエコー画像は,Positive enhance, Negative enhance, Non enhanceの3型に分けられるが,今回の検討症例はPositive enhance 33結節,Negative enhance 13結節であった.両群を切除標本において病理組織学的に検討した結果Positive enhancementの結節は肉眼所見では黄白色調結節型が多く,病理所見においては膨張性増殖を呈し,隔壁形成を認め,細胞異型が強く,thick trabecular typeが多かった.Negative enhancementの結節は肉眼所見において褐色調塊状型で被膜がなく,病理所見においてthin trabecular type,置換性増殖を呈し,腫瘍内に隔壁形成がなくグリソン鞘を認め,細胞異型が軽いものであった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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