肝臓
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高分化型肝細胞癌の画像解析による組織診断
核の円形度の有用性について
中野 雅行
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1990 年 31 巻 3 号 p. 318-323

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抄録

手術で摘出された肝小腫瘤を従来の組織診断基準により過形成結節,良性悪性境界病変,高分化型肝細胞癌,典型的肝細胞癌の四病変に分類した.良性・悪性の組織判定の客観化を目的として組織異型度を画像解析により数的に表現しどの指標が有用か検討した.検討した指標は細胞の大きさ,核の大きさ,N/C比,核の円形度である.組織異型が明らかな典型的肝細胞癌では従来から言われるように細胞の大きさの小型化,核の大きさの増大,その結果としてのN/C比の増大が悪性の指標に有用であった.しかし,異型が軽度である高分化型肝細胞癌の場合はこれらのみではしばしば判定困難であった.核の円形度は核の形の僅かな歪を認識することが出来て良性・悪性の鑑別診断に有用であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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