抄録
全国601施設の協力により,1986年1月1日より1987年12月31日までの2年間の本邦における原発性肝癌9,564例が日本肝癌研究会に登録された.このうち3,263例に組織学的確診が得られたが,その内訳は,肝細胞癌2,982例(91.4%),胆管細胞癌173例(5.3%),混合型25例(0.8%),肝芽腫19例(0.6%),肉腫8例(0.2%),その他56例(1.7%)であった.本報告においては,これら症例の診断,治療,臨床病理学的事項等に関するデータを解析した.さらに第5回調査(1978~1979)以後の肝細胞癌と胆管細胞癌の切除症例の累積生存率を算出した.とくに前者では治癒切除症例,後者では全切除症例における背景因子別生存率を検討した.