肝臓
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実験的アレルギー性肝炎モデルの作製とその肝非実質細胞におけるプロスタグランジン産生能の解析
木田 徹溝口 靖紘申 東桓市川 裕三長谷川 格小林 絢三森澤 成司
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1992 年 33 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

モルモットにトリニトロフェニル(TNP)化した肝特異抗原を投与して感作し,感作注射2週間後に腸間膜静脈からTNP化した分離肝細胞を投与すると著明な肝障害が誘導された.肝組織には著明な壊死像が観察され,血清トランスアミナーゼ活性は著明に上昇した.このような実験的アレルギー性肝炎の誘導におけるアラキドン酸カスケードの変化を検討するめ,著者らは肝障害誘導前後における肝非実質細胞から産生されたシクロオキシゲナーゼ系代謝産物を高速液体クロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーで分析した.その結果,TXB2ならびに6-keto-PGF1αの合成の有意な上昇が認められた.また,肝障害を誘導したモルモットおよび正常モルモットから肝非実質細胞を分離し,calcium ionophore A23187で刺激して産生されるTXB2と6-keto-PGF1αをRIAで定量すると,前者のTXB2の産生は後者の約2倍となり,6-keto-PGF1αの産生も前者では後者より有意に増加した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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