肝臓
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重症肝炎患者における血清ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)の測定とその臨床的意義に関する研究
杉山 宏杉原 潤一村上 啓雄越野 陽介森脇 久隆武藤 泰敏
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1993 年 34 巻 7 号 p. 493-503

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抄録

ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)は劇症肝炎例(n=34)の血中で有意に増加し,1.0ng/ml以上の症例が高率(76%)であった.劇症肝炎亜急性型(FHS, n=15)やlate onset hepaticfailure (LOHF, n=5)では脳症発現前より,非昏睡型の亜急性肝炎(SAH, n=14)に比し有意に高値を示した.またFHSやLOHFでは肝萎縮を伴ったSAHに比しプロトロンビン時間(PT)に差はなく,hHGF濃度が有意に高値を示し,肝炎劇症化の予知に有用な指標の1つと考えられた.さらに,劇症肝炎例の経過中のhHGF最高濃度は生存例に比し死亡例で有意に高く,7.0ng/ml以上の症例は全例死亡した.従ってhHGF濃度の推移は予後推定の上でも有用な指標の1つと考えられた.またhHGF濃度はPT,血漿メチオニンや芳香族アミノ酸濃度と有意に相関し,グルカゴン負荷試験低反応例や画像上高度の肝萎縮を伴ったFHやLOHFで有意に高値であったことから,肝予備能の低下と密接に関連して変動するものと考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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