肝臓
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34 巻, 7 号
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  • 杉山 宏, 杉原 潤一, 村上 啓雄, 越野 陽介, 森脇 久隆, 武藤 泰敏
    1993 年 34 巻 7 号 p. 493-503
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)は劇症肝炎例(n=34)の血中で有意に増加し,1.0ng/ml以上の症例が高率(76%)であった.劇症肝炎亜急性型(FHS, n=15)やlate onset hepaticfailure (LOHF, n=5)では脳症発現前より,非昏睡型の亜急性肝炎(SAH, n=14)に比し有意に高値を示した.またFHSやLOHFでは肝萎縮を伴ったSAHに比しプロトロンビン時間(PT)に差はなく,hHGF濃度が有意に高値を示し,肝炎劇症化の予知に有用な指標の1つと考えられた.さらに,劇症肝炎例の経過中のhHGF最高濃度は生存例に比し死亡例で有意に高く,7.0ng/ml以上の症例は全例死亡した.従ってhHGF濃度の推移は予後推定の上でも有用な指標の1つと考えられた.またhHGF濃度はPT,血漿メチオニンや芳香族アミノ酸濃度と有意に相関し,グルカゴン負荷試験低反応例や画像上高度の肝萎縮を伴ったFHやLOHFで有意に高値であったことから,肝予備能の低下と密接に関連して変動するものと考えられる.
  • 大西 久仁彦, 陳 信義, 伊藤 進
    1993 年 34 巻 7 号 p. 504-516
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    主腫瘍径1~3cmの肝細胞癌48症例(腫瘍個数3個以内)に対し超音波映像下に腫瘍を穿刺し,15~40%酢酸を注入する経皮的酢酸注入療法を施行し,腫瘍の変化,血清AFP値の推移,生存率,再発率等について検討した.治療後6ヵ月目で主腫瘍が超音波検査上消失したものは23例で,残り25例も著明に縮小した.治療部位を種々の時期に19例で生検し,2例で部分肝切除した.癌の残存はなく凝固壊死と線維化がみられた.血清AFP値が治療前200ng/ml以上の4例で治療後著明に低下した.死亡例は肝不全死8例,肝癌死2例を含む12例で治療後1年,2年,3年,4年生存率は91%, 84%, 81%, 61%であった.治療部位からの再発はなかったが,肝の他部位からの再発があり,治療後1年,2年,3年再発率は11%, 37%, 46%であった.重篤な副作用はなかった.以上より経皮的酢酸注入療法は腫瘍径3cm以下の肝細胞癌に対して非常に有効な治療法となりうる.
  • 培養ヒト肝癌細胞およびラット初代培養肝細胞を用いた検討
    松本 真, 岡本 康幸, 菊池 英亮, 松本 昌美, 辻井 正
    1993 年 34 巻 7 号 p. 517-523
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    我々は,肝癌患者にdibutyryl cyclic AMP (DBcAMP)を投与し,同剤が抗腫瘍効果と残存肝機能の改善作用を示すことを報告してきた.今回,培養ヒト肝癌細胞PLC/PRF/5とラット初代培養肝細胞を用いて,増殖抑制作用の機序と細胞障害への影響について検討した.
    DBcAMPは,対数増殖期のPLC/PRF/5の倍加時間を100μMで+57%, 1mMで+123%延長させ,培養液中へのα-fetoproteinおよびPIVKA-IIの分泌を抑制したが,細胞障害性の指標である遊離LDHは増加させなかった.またラット初代培養肝細胞のDNA合成に対しても抑制作用を示したが,同細胞にD-galactosamineを投与して作成した肝細胞障害に対しては保護作用を示した.しかし,PLC/PRF/5に対するMitomycin Cによる細胞障害に対しては,併用により,相加的な細胞数の減少作用を示した.
    以上の成績は,臨床的にDBcAMPが細胞障害に対して保護的でありながら抗腫瘍効果を示すという現象に対応するものと考えられた.
  • 小田 俊一
    1993 年 34 巻 7 号 p. 524-531
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    閉塞性胆汁うっ滞により肝は線維化をきたすことはよく知られた病態であるが,その機序は必ずしも明らかにされていない.近年肝線維化における伊東細胞の役割が注目されており,ラットの実験的胆汁うっ滞における肝線維化において伊東細胞が関与することがmRNAレベルで明らかにされている.そこでラット胆管結紮肝を用いて閉塞性胆汁うっ滞肝を免疫組織学的方法にて伊東細胞の動態を検討し,同時に伊東細胞を分離培養してその増殖能やコラーゲン合成能を測定し,胆汁うっ滞による肝線維化における伊東細胞の意義を検討した.胆汁うっ滞により生じた線維は,I型,III型,IV型コラーゲン染色に陽性でかつ線維化部の伊東細胞は増加しており,伊東細胞が線維化に関与することが示唆された.また,分離伊東細胞の増殖能の増加,コラーゲン合成能の増加傾向を認め,閉塞性胆汁うっ滞時おいて伊東細胞は,二次性の肝線維化に主要な役割を担っていると考えられた.
  • じん肺を認めた5剖検例の検討
    加賀 田豊, 木田 芳樹, 渡邊 清治, 奥平 雅彦
    1993 年 34 巻 7 号 p. 532-540
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    じん肺症について,吸入された粉じんが肺以外の臓器に与える影響についてはほとんど知られていない.われわれは病理学的にじん肺症と診断された病理剖検例5例について全身の諸臓器を組織学的に検討した.
    全例の肝臓および脾臓において,組織学的に粉じんと考えられる黒色色素の沈着を認めた.
    皮膚や消化管ではそれら黒色色素は認められなかった.肝臓における主たる沈着部位は肝小葉間結合織内リンパ管,肝静脈壁リンパ管および肝被膜リンパ管に相当する脈管様構造とその周囲であり,肝小葉内では類洞壁の網内系細胞にも微量の黒色色素を認めた.電子顕微鏡学的検索では沈着黒色色素の超微形態とその元素組成の間に,基本的に3つのパターンを認めた.免疫組織化学的には,黒色色素を含有した網内系細胞はlysozymeなどが陽性を示したが,黒色色素非含有網内系細胞に比しその染色性は弱く,黒色色素含有によるそれら酵素活性の低下が示唆され,じん肺の免疫能に与える影響が推定された.
  • 仁木 康雄, 宮崎 光一, 石須 良一, 中西 歩, 牧野 幸郎, 清水 敦哉, 野口 幸延, 田川 新生, 村田 佐門, 伊藤 信康, 高 ...
    1993 年 34 巻 7 号 p. 541-547
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    1988年以降当院において経験した若年者(15~23歳)発症の麻疹症例のうち,入院を要した8例につき,主に肝障害に関して臨床病理学的検討を行った.GOT, GPT, LDHの上昇は全例に認めたが,黄疸を認めた例はなかった.血清GPT値は発疹出現とともに上昇し,6~7日後に最高値をとり,以後経過とともに正常化した.血清LDHは発疹出現時より上昇し,GPTより2~3日早く最高値をとる傾向がみられ,約2週間で正常化した.8例中6例で回復期に肝生検を行った.組織学的には全例に軽度の肝細胞壊死を認めたが,グリソン鞘域の変化はほとんど認めなかった.
  • 武田 和久, 竹林 治朗, 瀬津 弘順
    1993 年 34 巻 7 号 p. 548-552
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は21歳の女性.18歳の時定期検診でHBs抗原の陽性が判明したが,血清GOT, GPTが正常であったので経過観察中,21歳の時,吐気,嘔吐に続く食欲不振で発症し,GOT, 175KU, GPT 173KUの上昇に対し血清α-フェトプロテイン(AFP)は1,237ng/mlの高値を示した.その時点における生検肝組織で,壊死巣中ないし近接部位の残存肝細胞にAFP染色の陽性所見を得た.IFNβ 600~300×104単位28日間の投与でHBe抗原陽性からHBe抗体陽性へと転換し,GOT, GPT, AFPも低下したが完全に正常化しなかった.画像的には急性肝炎に合致したが,組織学的には発症の時点ですでに活動性慢性肝炎の像を呈し,約2年後の腹腔鏡検査において肝硬変への移行がみられた.血清AFPの上昇は残存肝細胞の再生よりも障害部位の残存肝細胞そのものの変化を反映し,重篤な肝障害による予後不良の指標として重要であることを示す症例として呈示した.
  • 安田 一朗, 冨田 栄一, 西垣 洋一, 荒木 寛司, 名倉 一夫, 若原 達男, 森脇 久隆, 武藤 泰敏, 加地 秀樹, 杉江 茂幸
    1993 年 34 巻 7 号 p. 553-559
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.右季肋部痛を主訴に来院した.初診時,胸腹部X-Pにて右肩・肝・脾・腹腔内リンパ節に異常なX線高吸収影を認め,また腹部超音波検査にて胆石,および肝腫瘍を指摘された.22歳時に右肩腫瘍に対して放射線治療を受けており,この時注入されたトロトラストが関与した肝腫瘍と考えられたが,入院後敗血症,DICを合併し,第27病日急性呼吸不全にて死亡した.剖検にて,死因は肝血管肉腫肺転移巣からの出血による呼吸不全と診断された.また,甲状腺癌の合併もみられた.
  • 茶木 啓孝, 山田 達夫, 国場 幸史, 菊地 武夫, 下江 豊
    1993 年 34 巻 7 号 p. 560-561
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 山内 眞義, 西川 文則, 前澤 良彦, 水原 裕治, 大畑 充, 平川 淳一, 中島 尚登, 中原 正雄, 戸田 剛太郎, 木村 和夫
    1993 年 34 巻 7 号 p. 562-563
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 二次回帰式による相互換算表の応用
    是枝 ちづ, 河 相吉, 中谷 正, 佐藤 正博, 明石 夕香, 水野 孝子, 井上 恭一
    1993 年 34 巻 7 号 p. 564-565
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 坂田 博美, Bojian Jiang, 古根 高, 草野 満夫, 水戸 廻郎
    1993 年 34 巻 7 号 p. 566-567
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • その効果と安全性
    国枝 恒治, 関 寿人, 今村 正人, 若林 正之, 中谷 正, 城知 宏, 井上 恭一
    1993 年 34 巻 7 号 p. 568
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 34 巻 7 号 p. 569-582
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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