肝臓
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主腫瘍径1~3cmの肝細胞癌に対する経皮的酢酸注入療法
大西 久仁彦陳 信義伊藤 進
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1993 年 34 巻 7 号 p. 504-516

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抄録

主腫瘍径1~3cmの肝細胞癌48症例(腫瘍個数3個以内)に対し超音波映像下に腫瘍を穿刺し,15~40%酢酸を注入する経皮的酢酸注入療法を施行し,腫瘍の変化,血清AFP値の推移,生存率,再発率等について検討した.治療後6ヵ月目で主腫瘍が超音波検査上消失したものは23例で,残り25例も著明に縮小した.治療部位を種々の時期に19例で生検し,2例で部分肝切除した.癌の残存はなく凝固壊死と線維化がみられた.血清AFP値が治療前200ng/ml以上の4例で治療後著明に低下した.死亡例は肝不全死8例,肝癌死2例を含む12例で治療後1年,2年,3年,4年生存率は91%, 84%, 81%, 61%であった.治療部位からの再発はなかったが,肝の他部位からの再発があり,治療後1年,2年,3年再発率は11%, 37%, 46%であった.重篤な副作用はなかった.以上より経皮的酢酸注入療法は腫瘍径3cm以下の肝細胞癌に対して非常に有効な治療法となりうる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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