肝臓
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閉塞性黄疸における肝流入血行遮断下肝切除後の病態に関する実験的研究
高木 啓介
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1994 年 35 巻 1 号 p. 39-51

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抄録

雑種成犬を用い,胆摘,総胆管結紮を行って閉塞性黄疸を作成し,2週後に肝動脈・門脈を同時に10分間遮断して40%肝切除を行った.残存肝のエネルギー代謝は著明に低下し,肝組織中の過酸化脂質は有意に増加し,SOD様活性は有意に低下したが,xanthine oxidase活性は著変なかった.門脈血中エンドトキシン(Et)値は血流再開後著増し,末梢血中Et値や血清β-NAHは3時間後より著増したが,phagocytic indexは術後30分で一旦上昇し,3時間以後には著減して,肝細胞の変性・壊死率も高度となり,肝不全死のため,1週生存率は23.1%と低下した.すなわち,閉塞性黄疸下の内因性Etの上昇している状況下に肝流入血行遮断を伴う腸管うっ血により,門脈血中Etが増加し,Kupffer細胞はさらに賦活化され,フリーラジカルの発生を増強して,Kupffer細胞自身も障害され,Etのクリアランスは低下し,これに肝切除を加えると残存肝機能予備力の低下が加わって,肝不全に陥るものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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