肝臓
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35 巻, 1 号
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  • 田和 良行
    1994 年 35 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HCVの家族内感染の実態を明らかにするため104家系の270名の家族構成員につきC100-3抗体,HCV core抗体を測定した,HCV関連抗体陽性者についてはHCV RNAを検索し“HCVキャリア”と“HCV感染既往者”に分類し,HCVキャリアについては発端者とのHCV genotypeの異同を検討した.その結果270名中50名(18.5%)にHCV関連抗体が検出され,一般献血者(0.81%)に比しはるかに高率であった.50名中32名はHCVキャリアであり,18名はHCV感染既往者であった.家族関係では,同胞(26.9%),配偶者(23.1%)が児(12.4%)よりHCV関連抗体陽性率が高率でかつHCVキャリア率も高率であった.母児間,父児間でHCV感染率に差を認めなかった.発端者とHCV RNA陽性家族構成員のHCV genotypeは32組中26組で一致したが6組は一致しなかった.以上,性的ないし非性的なclose contactによるHCVの家族内感染は決して無視し得ない感染経路と考えられたが,家庭内以外の感染経路にも配慮が必要と思われた.
  • 島田 健太郎
    1994 年 35 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝炎46例(小葉改築傾向なし:32例,あり:14例),肝硬変29例,健常対照5例に対し,血中保持率が高くかつ肝に集積しない99mTc-DTPA-HSAを用いた肝血流シンチグラフィーを施行し,その臨床的意義を99mTc-phytateと比較検討した.両薬剤における肝実質time-activity curve (TAC)のpatternは各症例で一致し,Type I, II, IIIに分類され,肝病変の進展および食道静脈瘤の発達に伴いIからIIIへと変化した.99mTc-DTPA-HSAのTACより算出した門脈血流比は肝病変の進展に伴い有意に減少し,各種肝機能検査成績とも良好な相関を示した.他方,99mTc-phytateによる門脈血流比は同様の傾向を示したものの相関は弱く,特に慢性肝炎における変化を明らかにできなかった.以上より99mTc-DTPA-HSAは,肝血流動態の把握および血流と肝組織病変,肝機能との関係を解析するに適した,優れた薬剤であることが示唆された.
  • 安永 昌史
    1994 年 35 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    外科切除された慢性肝炎を合併する肝細胞癌(CH群)94例の臨床病理学的特徴について,肝硬変合併群(LC群)156例と比較検討した.
    HBsAg, HCV抗体陽性率では,CH群,LC群ともにほぼ同率で有意差はなく,CH群では,HBsAg陽性群の方がHCV抗体陽性群より有意に平均年齢が低かった.細小肝癌における高分化型の頻度はCH群50.0%, LC群74.5%とLC群に高く(p<0.05),逆に中分化型,低分化型の頻度はCH群40.0%, 10.0%, LC群21.6%, 3.8%と各々CH群に高い傾向にあり,門脈侵襲,肝内転移,被膜浸潤の頻度も全てCH群に高かった.また,CH群の非癌肝組織には過形成病変や初期の高分化型肝癌の併存は認められなかった.以上より,慢性肝炎合併肝癌は,より早期から脱分化を起こし,その多くは単中心発生である可能性が示唆され,肝硬変合併肝癌とは異なった生物学的特性を有すると考えられる.
  • 田所 文彦
    1994 年 35 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝移植が頻繁に行われるに伴い,肝臓に分布する神経の切断後の影響が重要な問題になっている.本研究ではラット肝に分布する神経切断後の変性と再生の過程を神経再生のマーカーであるGAP-43抗体を用いて免疫組織化学的に検索を行った.肝門部より8mm離れた部位で肝臓に進入する神経を切断後直ちに接合し0, 1, 2, 3, 4, 7, 14, 21, 42, 56日後の神経の変性再生像を観察した.切断前の正常なGAP-43の反応は神経線維の中のいくつかの軸索の周囲にリング状に認められた.切断後1日目ではリング状の陽性像が消失し,2日目頃より微弱なびまん性反応が再び現れる.3日目より次第に反応が増強しはじめ,14から21日目で反応はピークになり,神経線維全体が強い陽性像な示す.その後反応は次第に減弱し,42から56日目で切断前と同じ様に,一部の軸索のみがリング状に反応するようになっていた.免疫電顕法によりGAP-43陽性の軸索は再生してきたものと判断された.以上の結果より,切断された神経は2日目から再生を開始し,42から56日目で再生が完了するものと結論された.
  • 高木 啓介
    1994 年 35 巻 1 号 p. 39-51
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を用い,胆摘,総胆管結紮を行って閉塞性黄疸を作成し,2週後に肝動脈・門脈を同時に10分間遮断して40%肝切除を行った.残存肝のエネルギー代謝は著明に低下し,肝組織中の過酸化脂質は有意に増加し,SOD様活性は有意に低下したが,xanthine oxidase活性は著変なかった.門脈血中エンドトキシン(Et)値は血流再開後著増し,末梢血中Et値や血清β-NAHは3時間後より著増したが,phagocytic indexは術後30分で一旦上昇し,3時間以後には著減して,肝細胞の変性・壊死率も高度となり,肝不全死のため,1週生存率は23.1%と低下した.すなわち,閉塞性黄疸下の内因性Etの上昇している状況下に肝流入血行遮断を伴う腸管うっ血により,門脈血中Etが増加し,Kupffer細胞はさらに賦活化され,フリーラジカルの発生を増強して,Kupffer細胞自身も障害され,Etのクリアランスは低下し,これに肝切除を加えると残存肝機能予備力の低下が加わって,肝不全に陥るものと考えられた.
  • 大田 人可, 村住 和彦, 松本 昭範, 大平 基之, 村住 ゆかり, 藤本 佳範, 鳥本 悦宏, 小野 稔, 関谷 千尋, 並木 正義
    1994 年 35 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対する内科的治療後の再発に関して検討を行った.対象は直径4cm以下の単発の肝細胞癌症例49例中,内科的治療を行った37例である.うちわけはTAE 17例,PEIT 13例,TAE・PEIT併用7例である.TAE後の再発例は9例で,再発様式は局所再発5例,非治療部再発3例,びまん再発1例であった.PEIT後,TAE・PEIT併用後の再発例は12例で,再発様式は局所再発はなく,非治療部再発11例,びまん再発1例であった.再発時期・再発部位関しては一定の傾向はなかった.局所効果の増強のためには,TAE例でも可能であればPEITの併用が望ましい.
    2年以内の再発例(18例)と無再発例(7例)を比較し,再発に関する因子を検討したところ,患者背景や治療法によって差はなかったが,腫瘍の肉眼分類で単結節周囲増殖型は単結節型より再発が多い傾向をみた.また,個々の病変に対して十分治療し得たかどうかも再発を左右する因子といえる.
  • 河合 庸仁, 竹重 言人, 布目 雅稔, 黒田 博文, 鈴木 寛路, 長谷川 誠, 坂野 耕司, 小出 龍郎, 小林 秀雄, 大輪 芳裕
    1994 年 35 巻 1 号 p. 60-66
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌で肝切除を適用した84例に腫瘍細胞解析を行い,予後,背景との関連を検討した.核細胞質面積比が0.28未満,核変異係数が5.5%以上の症例で予後が不良であった.原発性肝癌取扱規約の肉眼所見との関連では,核細胞質面積比(以下N/Cと略す)が0.28未満の症例において門脈浸潤が軽度で,肝内転移が軽度であった.病期別では,Stage IIIにおいてN/Cが0.28以上,核変異係数が5.5%以上の症例で予後が不良であり,N/Cが0.28未満の症例で門脈浸潤が軽度であった.術式別では,相対的非治癒切除例でN/Cが0.28以上の症例の予後が不良であった.Coxの比例ハザードモデルによる予後因子の検討では,N/Cのhazard ratioが2.79,原発性肝癌取扱規約のT因子が2.90であり,画像解析法による組織学的異型度指標は,肉眼所見と関連して,肝細胞癌の切除後の予後を規定する因子であり,肝切除後の補助療法適用の重要な根拠となることが示された.
  • 岡本 敏幸, 柏木 徹, 松田 裕之, 保城 秀雄, 石橋 一伸, 金 邦源, 東 正祥, 満谷 夏樹, 山崎 元, 桑田 圭司, 小林 晏 ...
    1994 年 35 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性で,HCV抗体陽性肝硬変患者として外来通院中,血清AFP値の上昇を認めたため,腹部超音波検査,腹部CT,肝シンチグラムを施行するも肝癌が検出されず,血管造影にて腫瘍濃染像は認めなかったが直径6mmのlipiodol集積を認めたため肝癌と診断し,切除された.腫瘍はEdmondson I~II型肝細胞癌で被膜を有していた.この様な微小な肝細胞癌において高分化型で被膜を有する例は極めて稀で,早期肝細胞癌に於ける画像診断ならびに腫瘍の分化度と増殖形態面で,非常に興味のある症例と考えられた.
  • 黒河 達雄, 藤澤 憲司, 吉田 栄一, 梅田 政吉, 三村 久, 山田 隆年, 下山 均
    1994 年 35 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    患者は48歳女性で,B型肝炎として経過観察中に発見された肝左葉を占拠する巨大な腫瘍に対し,肝左葉切除が施行された.病理組織学的にはEdmondson III型の肝細胞癌であった.約1年6カ月後,Treiz靭帯より30cm肛側の空腸に発生した手拳大の腫瘍が切除されたが,肝癌の腹膜転移と診断された.初回手術後再上昇していたAFPは再手術後正常化し,約1年7カ月を経た現在も3ng/mlと安定しており,再発病巣は完全に切除し得たと考えられる.肝癌の孤立性小腸転移が治癒切除された例は非常に稀でその転移経路に興味がもたれた.
  • 中原 英樹, 浅原 利正, 岡本 有三, 越智 誠, 片山 幸治, 板本 敏行, 野村 真哉, 小野 栄治, 土肥 雪彦, 北本 幹也, 中 ...
    1994 年 35 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は51歳の男性,心窩部痛を主訴に来院した.諸検査の結果,肝S4, S7の転移性またはリンパ系の悪性腫瘍の診断の下に肝切除術を施行した.術後の病理学的検索では悪性リンパ腫(Non-Hodgkin's lymphoma, B-cell type)であった.本症例では術中に肝門部リンパ節に軽度の腫脹を認め病理学的にも同様の所見が認められたため,原発が肝であるか,リンパ節であるかは確定的でなかったが,腫瘍の局在からは肝原発が疑われた.
    肝原発の悪性リンパ腫の報告例は我々の検索した限りでは英文77例及び邦文30例の107例にすぎず,特に肝切除例は英文19例,邦文4例の23例が報告されているにすぎない.肝に限局した悪性リンパ腫は,積極的な切除療法と,多剤併用による化学療法により,予後の改善が期待できると考えられた.
  • 藤沢 知雄, 乾 あやの, 大川 貴司
    1994 年 35 巻 1 号 p. 85-86
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 石川 智久, 新 智文, 都野 晋一, 戸田 剛太郎, 田中 貢
    1994 年 35 巻 1 号 p. 87-88
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 井本 勉, 佐藤 雄一, 佐藤 紅緒, 井上 恭一, 内田 俊和, 松井 俊二郎, 国立 裕之, 大矢 美香子, 山本 伸, 金子 滋夫
    1994 年 35 巻 1 号 p. 89-90
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 河崎 恒久, 賀古 真, 中島 猛行, 溝上 雅史, 日野 邦彦, 岩田 滉一郎, 金井 弘一
    1994 年 35 巻 1 号 p. 91-92
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 重田 勝義, 井口 彰子, 加藤 禎, 窪田 学, 杉本 元信
    1994 年 35 巻 1 号 p. 93
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 松崎 浩司, 大塚 幸雄
    1994 年 35 巻 1 号 p. 94
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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