慢性肝炎46例(小葉改築傾向なし:32例,あり:14例),肝硬変29例,健常対照5例に対し,血中保持率が高くかつ肝に集積しない
99mTc-DTPA-HSAを用いた肝血流シンチグラフィーを施行し,その臨床的意義を
99mTc-phytateと比較検討した.両薬剤における肝実質time-activity curve (TAC)のpatternは各症例で一致し,Type I, II, IIIに分類され,肝病変の進展および食道静脈瘤の発達に伴いIからIIIへと変化した.
99mTc-DTPA-HSAのTACより算出した門脈血流比は肝病変の進展に伴い有意に減少し,各種肝機能検査成績とも良好な相関を示した.他方,
99mTc-phytateによる門脈血流比は同様の傾向を示したものの相関は弱く,特に慢性肝炎における変化を明らかにできなかった.以上より
99mTc-DTPA-HSAは,肝血流動態の把握および血流と肝組織病変,肝機能との関係を解析するに適した,優れた薬剤であることが示唆された.
抄録全体を表示